利益相反チェック · 案件を受任する前に
利益相反チェックは、自分には見えない案件も含めて事務所のすべての案件の当事者を照合し、返すのはメタデータだけです。相反があるか、リスクはどの程度か、理由は何か、誰に上げるべきかが分かります。実行のタイミング、結果の読み方、判断を改ざんできない形で記録する方法を説明します。
この機能が解決する問題
事務所の別の依頼者と争っている相手を新たな依頼者として受けてしまうことは、法律業務で最も高くつく失敗のひとつです。しかも相反は、まさに自分が見られない場所に隠れていることが多いのです。倫理の壁の向こうにある、別のパートナーの秘匿案件の中です。
利益相反チェックはこの行き詰まりを解きます。例外なく事務所のすべての案件の当事者を照会しますが、あなたに返るのはメタデータだけです。相反が存在することと、誰にこの件を持っていくべきかは分かりますが、相手方の案件の当事者が誰か、その案件が何を扱っているかは分かりません。秘匿は保たれたまま、歯止めは機能します。
実行すべきとき
- 新しい依頼者や新しい案件を受任する前。
- 進行中の案件に新しい相手方を追加する前。
- すでに受任している相手と同じ企業グループの会社が現れたとき。
- 紹介で相談が来て、反対側にいるのが誰か確信が持てないとき。
実行の手順
- 「法務」を開きます。「利益相反チェック」のブロックが画面の上部にあります。
- 「照会対象の名称」に、審査したい個人または企業を入力します。
- 「識別子」に、証明書番号、メールアドレス、その他のコードを 1 行に 1 つずつ入力します。精度を最も高めるのはこの欄です。
- 「利益相反を確認」をクリックします。
- 結果の表を読みます。列は「案件」「立場」「リスク」「理由」です。
何も見つからない場合、画面には相反は見つからなかったと表示されます。これは受任してよいという自動的な許可ではありません。事務所が登録したデータの中に一致がなかった、という意味です。
結果の読み方
1 行が 1 件の一致です。「案件」列は相反する案件を示し、「立場」列はその案件におけるその当事者の立場を示します。たとえば依頼者、相手方、証人などです。「リスク」列は高、中、低に分類します。「理由」列は、システムが疑いを持った根拠を説明します。
- 識別子の一致: 入力された証明書番号やメールアドレスが、登録済みの当事者と同一です。最も強いシグナルです。
- 名称の完全一致: アクセント記号、大文字小文字、句読点を正規化したうえで、名称が完全に一致します。
- 名称の類似: 名称が意味のある語をかなり共有しています。略称や商号の一部に対して有効ですが、同姓同名を最も多く生む理由でもあります。
結果は、誰にエスカレーションすべきかも示します。相反する案件の担当者です。これが実務上いちばん大事な情報です。同僚の案件を議論するのではなく、判断できる人のところへ判断を持っていくのです。
判断を記録する
確認するだけでは足りません。事務所を守るのは、何を決めたかの記録です。審査を実行したら、「判断を記録」のブロックで照会した名称について 3 つの結末のいずれかを選びます。
- クリア: 受任を妨げる相反はありません。
- 同意書: 相反はあるものの、関係する当事者が受任に正式に同意しています。
- 受任拒否: 事務所としてこの案件を受けません。
記録された判断は 1 つ前の判断に連結され、検証できる連なりを作ります。過去の記録を変更したり削除したりすると連鎖が壊れ、それが一目で分かります。判断と一緒に、何を審査したかの要約も凍結されて残ります。万一の調査の場面で、事務所は何を決めたかだけでなく、決めた時点で何を把握していたかまで示せます。履歴は同じ画面の「判断の履歴」に表示されます。
このチェックがしないこと
- 案件の作成を単独で止めることはしません。知らせて記録するだけで、判断するのは事務所です。
- 相反する相手方の名称や案件の内容は、設計上、明かしません。
- 外部のデータベース、裁判所、公開リストは参照しません。見るのは自分の事務所が登録した内容だけです。
- 企業グループを自動では理解しません。名称も登録番号も異なる同一グループの会社は、1 社ずつ審査する必要があります。
よくある質問
- 結果が空でした。受任してよいですか。登録済みのデータに一致がなかったというだけです。過去の案件の当事者が不完全にしか登録されていなければ、審査の届く範囲もその分狭くなります。
- 明らかに同姓同名なのに高リスクが出ました。判断を「クリア」として記録し、理由を書いてください。その記録が後日の防御になります。
- 誤って記録した判断を削除できますか。できません。この連なりは意図的に改ざん不能です。同じ名称について新しい判断を記録してください。履歴には両方が順番に表示されます。
- なぜ相手方の名称が行に出ないのですか。表示すれば他の案件の秘匿が破られるからです。エスカレーションに必要な分だけが渡されます。
- 受任までに時間がかかる場合、もう一度実行すべきですか。署名の前にもう一度実行する価値があります。事務所は常に新しい案件を受けており、状況は変わり得ます。